Rogue -ローグ-

うっっ…ジャケがかっこいい! この絵一枚で作品の雰囲気が濃く表現されてる気がします。

 

Rogue -ローグ-

レーベル:Swallow
CV:深川緑
監修:宇野柚瑠
シナリオ:堀川ごぼこ
イラスト:ヅラ
2018年4月27日発売

公式サイト ステラワース

登場キャラ:
川南葵

 

登場キャラの川南さんは23歳の若くて美しいバーテン見習い。一方のヒロインは純粋で真面目な警察官で、現在の階級は巡査部長。おお、珍しい設定です。

物語は交番で勤務中のヒロインの前にふらりと川南さんが現れるシーンから始まります。

にこやかに、やや馴れ馴れしいほどの気さくさで挨拶する彼。しかしヒロインからあっさり「誰ですか?」と返され、少し声色が変わります。「6年前に会ったことがある」とほのめかしてもヒロインはまったく思い出せない様子。

そこですぐ話題を切り替え、自分はヒロインが常連で通っているバー “Rogue” で最近働き始めた見習いで、今ちょうど交番の前を通りかかったから声をかけてみた、と説明。そして今夜店に来るよう軽い調子で誘いかけ、頬にキス(!)。風のようにその場を立ち去ります。

 

 

その夜。言われるがままバーに足を運んだヒロイン。いそいそと駆け寄って彼女を迎える川南さんですが、店内には他に客もスタッフもおらず、どうやら二人きりの模様。注文を聞いてヒロインにビールを出し、一言断ってからカウンター越しの彼も乾杯して一緒に飲み始めます。

さっきの話が気になるヒロインはさっそく「6年前」について尋ねます。が、川南さんは回答をぼかしたまま、笑顔で次々とお酒を勧めてきます。もったいぶるような態度にヒロインがなお問い詰めると、「そんなに気になる? どうして? 俺のこと気に入ってくれたから?」と冗談めかして微笑みます。

…たしかに気に入ったにせよ直感にせよ、何らかの引っかかりがなければ、見ず知らずの男の誘いに安易に乗らないですよね。つか勤務中いきなり謎の男にナンパされしかも頬にチューなどされたら、うっかり回し蹴りor締め技or現行犯逮捕でもしちゃいそうな勢いです(笑)。でもそうはならず、警戒どころか相手の言葉を鵜呑みにして単身バーにやって来たヒロイン。警察官なのに隙だらけといってもいいくらい。

想像するに、彼女は交番で川南さんとほんの少し言葉を交わしただけで、彼の存在に惹きつけられてしまったんじゃないかなという気がします。6年前という謎めいたワードと彼のもつ独特な雰囲気(外見の美しさ含む)に、自分でも何が何だかわからないまま一瞬で呑み込まれてしまった、と言えばいいでしょうか…

このあとヒロインがやすやすと川南さんに陥落する展開になるので、そんなふうに考えるのが一番納得がいくかな~と私は思いました。最初から正常な判断力を少し失っていたと解釈する方がしっくりくる。まあ自分の勝手な妄想で補ってるにすぎませんが。

バーの場面。お酒が進んだところで、川南さんは6年前に自分が歌舞伎町でヒロインに補導された経緯を話し始めます。しかも話の途中でカウンター越しからヒロインの隣の席に移り、至近距離になって、まるで流れるように自然にキス。自分たちの姿を写真に撮り、これネットに流出しちゃったらやばい?と脅してみせます。

ちなみにヒロインがバーに足を踏み入れたとき鍵をかけたので(たしかにそんなSEがしてた)、他の客は入って来れません。あっさり罠にかかったヒロインに、あれよあれよという間に手を出していく川南さん。

行為の最中も彼の話は続き、補導され実家に戻されてからの身の上まで語られます。だけど大事なのは、ここでの彼の説明はあくまで断片にすぎず、また必ずしも真実とは限らないということです。

この作品、私は聴いていてちょっと怖いなと思いました。川南さんのセリフがどこまで本当なのかわからなくて。家出して遊び歩いていた17歳の彼。当時巡査だったヒロインに補導され親身に対応されたこと。家族や他の女は本気で自分を心配してくれたことはなかったこと。実家では保護者である祖父母から虐待に等しい扱いを受けていたこと。荒れまくりの高校から逃げてふたたび家出し、今度は東京以外の都会でいわゆる色管をしてきたこと。全部が全部、川南さん本人による主観的な説明のみです。

ずっとあなたにお礼がしたかった。あのまま遊び歩いていたらロクな人生送ってなかったから、あなたは俺の恩人なんだよ。そう川南さんは言います。その一方で、ヒロインに補導され実家に帰されて以降のことに関しては「少しは罪悪感が芽生えた? 俺ってかわいそうでしょ?」と囁きかけてくる。それも抱いてる真っ最中に。

実はここ、川南さんのもうひとつの過去であり補導よりもっと重大な事件については触れられていません。最中、3年半もえっち我慢してた…というセリフが一瞬出てきて聴き手は「ん? 3年半??」と疑問を抱きますが、詳細はスルー。この時点ではまだ事実が伏せられたまま話が進みます。つまり川南さんはバーの場面では “かわいそうな俺” をあえて強調していたということです。

 

 

彼が詐欺罪で実刑判決を受けて3年間刑務所に入っていたことは、バーでの一件の数日後に明らかになります。

そのトラック3冒頭、帰宅して鍵を開けようとするヒロインの元に走り寄り、笑顔でするっとドアの内側に滑り込む川南さん。見事なストーカーっぷりを発揮。。しかも当たり前のような調子でいきなり「結婚しようよ?」と言ってきたり(口は軽いけど本気)。そして相変わらず警戒心の薄いヒロインは、部屋に上がり込んだ彼に何だかんだで丸め込まれ、結局1度目と同じようになし崩しで抱かれてしまいます。

あ、ちなみにこの作品にはヤンデレ定番のおくすりやその他の特殊アイテムは出てきません。プレイ内容はごく普通で、むりやり感は薄め。その点聴いてて辛くなったりもやもやした気持ちにはならなかったです。他の人間をだしにしたりアイテムに頼ったりすることなく自分一人の力(口先やらテクニックやら)のみでヒロインを手中に収めてしまうあたり、さすがrogueというか、女を落とすのによっぽど慣れた人なんでしょうねぇ…。なんか感心するポイントまちがってる気もするけど。

たしかに川南さん、喋ってるだけで独特な空気感があるし、チャラいけどいかにも悪人って感じはしないし、しかもコトが始まった途端色気が大量散布なので(そのあたり深川緑さんの吐息交じりの演技はやはりとて~~も素敵です)、流されてしまうヒロインの気持ちもまあわからなくはないんです。聴き手としても「あれ? いつの間にか流されてるな?」という感覚がすごく強かった。

川南さんがヒロインに前科を指摘され、その顛末を語るシーン。ようやく彼のもうひとつの顔が垣間見えます。この辺のセリフがまた、まるで罪の意識がないっ!という感じで(笑)。要は女たちを騙して恨みを買いまくって詐欺罪で刑事告訴されたわけですが、出所した現在も自分の何が悪かったのか全然わかってないような物言いです。今までの人生ひたすらモテてきた経験しかないとこういう認識になるんでしょーかね…(?) 私などはこれを聴いて「あ、彼は人を騙すプロなんだ」「“かわいそうな俺” レベルじゃないじゃん!」と空恐ろしくなり、ますます疑心暗鬼になった次第です。

 

ヒロインは川南さんのことを憶えていなかった。でも、憶えていない彼女に代わって聴き手を納得させるような客観的な回想シーンが入るでもない。ヒロインと川南さん以外の登場人物が出てきて状況を補足するでもない。本当に、ここに限らずどの場面も川南さん一人の発言しか判断材料がないのです。シチュCDは基本一人語りだから当然っちゃ当然なのですが、今回はその語りになんだかすごーく不安を掻き立てられました。

そもそもモテまくりで女性に不自由したことがなく、生きる世界もまるで違った彼が、なぜ警察官の彼女にそこまで惚れ込んでしまったのか。いくら初めて親身にされたからって――「見返りもないのにあんなに親切にされたの初めてだった」とは言ってるけど――、その後6年ものあいだ想いつづけストーカー化するほど執着するでしょうか。そのあたりの肉付けが少々足りないように感じました。ヒロインが憶えてないなら、代わりに当時の回想シーンの一つでもあればよかったんですけど。

…と思う一方で、あえて情報を少なくしたのかな~という気もします。ヒロインおよび聴き手を突如霧の中に放り込み、右も左もわからぬまま謎の男に囚われた感覚にさせる。そういう狙いもあったのかもなぁなんて。川南さんというキャラクターが人の心を読むのに長けた天性の女たらしであるのも重要なポイントだと思います。最初はわかりにくいけど、一度ターゲットにされたら逃げられない感じが、あとからじわじわ来ます…。

 

 

終盤のトラック4-5は、交番での出来事(※早期DL特典に収録)から約一週間後、休職届を出し故郷に帰っていたヒロインの元に川南さんが駆け寄ってくるシーンから始まります。東京西部の山村にある彼女の実家まで調べ上げ、追いかけてきた彼。

悪党から逃げきれると思ったら大間違い

本当に嫌なら俺をさっさと逮捕すればいいじゃない。ま、また実刑くらってもムショから出たら即行あなたを追いかけるけどね。地の果てまでも

もう逃げられないと悟ったのか、それとも川南さんの洞察どおり彼を “かわいそう” と同情した結果、惹かれてしまったのか。詳しい胸の内は推測するしかないですが、一週間以上ぶりだから今すぐしたいとねだる彼を受け入れ、森の中へと導くヒロイン。

このシーン最後の最後で何かあるんじゃ…?と私は期待していたのですが(だって森といったらサスペンスの舞台じゃないですかー!)特に何もなく。切株に座って本編3度目のイチャイチャをしておしまいです。もうこれイチャイチャと言っていいですよね。いや終わってみればなんだかんだずっとイチャイチャしてた気がするな。結局ラブラブな話なのかなこれ…??? ※混乱してます。

事後、川南さんは一緒に家に帰ろうと誘いかけてきます。実はすでにヒロインの親類縁者一同に挨拶を済ませてきたそうで、早くも皆にヒロインの彼氏、もとい結婚相手と認知されたとか。川南さん自身もう家族の一員気分でトークしてます。

この最後のオチのつけ方が面白いというか滑稽というか、ちょっとクスッと笑ってしまったのですが……いや笑っていいのかな。なんだかどう反応すればよいかわからなくなってきました。とにもかくにも、まずは獲物の周辺を真っ先に固めて逃げ場を潰すあたり、仕事が早い! 慣れてる! としか言いようがないっす。ほんと、他人の心にすっと入り込んで自分の意のままに操るのがお上手なんですねぇ川南さん…!! この感心ポイントもやっぱりまちがってる気がする。

 

※以上はあくまで私個人の感想ですので、全然そんな作品じゃなくない?と思われる方もいるかもしれません(すみません)。この作品、いろんな解釈が可能な気がします。川南さんの発言もひょっとしたらもっと素直に受け止めたっていいのかもしれないし。一見シンプルだけど闇が深い作品ですね……(-ω-)

 

# 本日は以上です。前回拍手ポチポチ押してくださった方はありがとうございましたー! すごくすごくありがたかったです(≧д≦) ! また次回♪

 

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  1. あめ より:

    ●拍手返信
    >こばさん
    こんにちはー(*´▽`*) いつもありがとうございます、どの記事でも反応いただけるだけで嬉しいです!!

    こばさんも悩みましたか~~。つかみどころのない不思議な作品でしたね。これでヒロインの拒否感が色濃く出てたら単純なストーカーものになってただろうと思うのですが、そうじゃないんですよねー。川南さんを疑いながらもつい絆されてしまう。そのすごく微妙なラインが表現されていて、聴き手も一緒に煙に巻かれてるってことなんだろうな…と(勝手に)思いました。

    そうですね!「線の細めの声」とリップ音のギャップ!!(すばらしい…的確な表現…!)
    深川緑さん、そういうシーンに入った瞬間その色気はどこから出てくるのですか~~!ってくらいフェロモンが漂いだしますよね。まるで霧か霞のように(?)

    きゅんとまも楽しみですね! 他のキャストも素敵ですし。ジャケのリア充っぷりが半端ないですが…(´∀`;)
    やさしい楽園の最終巻もどんな感じになるのかドキドキです。最近ようやく出演作が増えてきて嬉しいかぎりです~!

    なんとっ、髭内さんはラブトラからだったんですかー! それは心して聞かねばですっ。楽しみです~~♪ ふふふ。
    なんだか新作すらまともにアップできてないですが、そのうち旧作感想も書きたいなと思ってます^^ お時間ありましたらまた遊びに来てくださいね。メッセージ本当にありがとうございました☆彡

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