終末の密室

◆ 終末の密室

レーベル:Swallow
CV:三楽章
企画:宇野柚瑠
シナリオ:雪華
イラスト:ヅラ
2018年3月25日配信
収録時間:107分(mp3)

公式サイト 販売サイト

登場キャラ:
橘朝陽

刹那的な雰囲気をまとう青年。何らかの恨みを抱いており、復讐をするためにヒロインを拉致した。根は真面目なのか、ヒロインを無理やり犯す一方で、かいがいしく世話をする。

 

ホラー小説のようなタイトルに、読むだけで息苦しくなるようなあらすじ。しかも収録時間100分超とあって、これは気力体力ともに充実してる時に聴かねばの~と身構えてましたが、心配無用でした。おかしな言い方かもしれないけど聴いてるあいだじゅうずっと幸せでした。これは…すごい。隅から隅まで三楽さんの濃い演技を楽しめます。というかまるでCV三楽章のために用意されたかのような作品。ストーリーも丁寧で起承転結わかりやすく、物語として完成されています。しっかしなぜこんな甘くて幸せなの? ※個人の嗜好です

 

冒頭、鎖につながれた状態で眼を覚ますヒロイン。そこへ現れた見知らぬ男性。冷ややかで高圧的な声。直接名乗るシーンはありませんが密室の主・朝陽さんです。

彼の説明でヒロインはある日突然このマンションの一室に拉致されたことを知ります。大病院の院長の一人娘で花嫁修業中で… と、彼女のパーソナルデータを細かく把握しているらしい朝陽さん。この誘拐が計画的犯行であり、ある男への復讐目的だと告げます。

突然だけど、君には屈辱と苦しみののちに死んでほしいんだ

君がいかにみじめな終わり方をしたのか、あいつに送りつけてやるんだ

そう述べて、カメラが回るなか怯えるヒロインを組み敷きます。服を裂き、挑発的かつサディスティックな言葉を浴びせて。途中で腕に噛みつかれ血を流しますが、その傷を舐めるよう命令したり。さらにはヒロインが処女と知りつつ無理やり喉奥まで咥えさせたのち、前戯もなしに最後まで。あらまあ情け容赦なし、冒頭から飛ばしてるな…! 聴いてるこちらもガクブル。

と思いきや、少し様相が変わっていきます。

ふいにすべてを諦めたような目をして抵抗をやめるヒロイン。もちろんこの状況には恐怖してるし、痛みのあまり涙で顔がぐしゃぐしゃだし、煽られればたしかに拒否反応も示します。けれど彼が期待していたような、いかにも世間知らずのお嬢様らしい絶望の素振りは見せません。コトが済んだあとは自分がつけてしまった噛み傷に気づき謝る始末。

君、おかしな反応をするんだな。まるで普段虐待されてる人間みたいだ

と直感で悟る朝陽さん。その目や表情やリアクションに強く惹きつけられた様子です。体の相性もよいらしい。それでトラック1の終わる頃には、もう殺してくれと諦観するヒロインに対し「具合がいいからペットとしてしばらく生かす」と宣言。予定変更のようです。早くもあらぬ方向へ走り出している復讐計画…。

 

トラック2。翌朝目を覚ましたヒロインに自ら用意した朝食を運ぶ朝陽さん。昨日より心なしか声が柔らかくなってます。食事も一緒に食べてくれますし、顔にソースついてるよ的なやりとりも出てきたりして、あれ?傍目には仲の良いカップルに見えなくもないぞ…

食事中に披露される本日の「凌辱スケジュール」。まあ文字どおりアレな時間割なんですけども、この内容をごく真面目に滔々と語る朝陽さんがちょっと滑稽でもあります。

というかこの二人、それぞれちょっとズレてるんですよね。料理の味に感激し尊敬のまなざしを送るヒロインに、昨日の今日でおいしいとか思わないだろう!?とツッコミを入れ、なんか調子狂うな…と首をひねる朝陽さん。一方のヒロインも、行為の合間にかいがいしくお世話されることを不思議に思っている様子。鎖につながれてるとはいえ丁重な扱いに、食事やシャワータイムや休息が確保された綿密なスケジュール。「犯罪者なのに優しい」と伝えると、朝陽さんは動揺して「ペットの健康管理」だと言い張りますが、ペットと言ってる時点でなんかもう……そうじゃないですか(なんだよ)

これはあとからわかるのですが、彼にとって『世話をする対象を得ること』は自己の存在証明とイコールなくらい重大なことなのです。

で、食後のシャワーシーン。…三楽さんといえばわりとシャワーなイメージがあるんですけどなぜでしょう?(笑)   今回も案の定洗われます。潔癖症でこだわりの強い朝陽さんの手で。昨日の激しさとは打って変わって静かにゆっくり。耳元でいやらしく囁かれながら。ああ、この辺の囁きはよきですなぁ…! 「よしよし、怖くない怖くない」の言い方なんてハッとするくらい素敵です。ちなみに昨日は計3回もしたようですが、ヒロインがまともに愛撫され感じたのはこれが初めて。そんな彼女の姿を見て「かわいい」発言もぽろり。(言ったな…!)

その後も一体何事ぞと驚くほどの甘さ。風呂場では寸止めで終了し、つづきはベッドで。息づかいも声の艶も嘘のように甘い朝陽さん。時々思い出したように犯罪者らしい発言はするけれど、それも含めてなぜこんなに甘いのですか?(と動揺する私)。一言でいうとセリフと行動が全然噛み合ってないんです。本人はこれでも真面目に凌辱してるつもりらしいけど、やっぱり昨日とは明らかに違います。

実はこの噛み合わなさこそ朝陽さんというキャラクターの肝なのですが、それはさておき、高まるにつれだんだん本音も混じってきて、ヒロインの表情を見てうっかり「ヤバイ、かわいい…!」→「な、なんでもない」などと打ち消したり。でええっ、すでにデレデレ! ヒロインもそーゆーとこ見逃してないからね!!

とはいえもちろん甘いばかりではありません。事後のヒロインの問いを受けて、「この復讐が終わったら俺は自殺する」と述べる朝陽さん。そして乾いた笑み混じりの口調で、

俺は弱いから、罪の重みになんて耐えられない。死んでこの世から逃げるんだよ

それでもやる意味はあるさ。じゃないと怒りが収まらない。あいつにも俺と同じ苦しみを味わわせてやらないと…!

と。ここではそれ以上の詳細は知れませんが、最後の部分だけ強い怒りを滲ませています。

 

 

トラック3。再びヒロインが目覚めるシーンから。

パソコンに向かって何やら作業している朝陽さん。彼の職業はフリーのプログラマーだったのですが、意外なことにヒロインもプログラミングを専攻していて、画面の内容を理解できるほど。その知識とスキルに「俺と同じくらい腕のいい人間初めて見たよ」と朝陽さんも感心します。

いつしか話が盛り上がり、二人でお酒を酌み交わしつつ談笑してます。あら、すっかり友達のノリ…?? ヒロインは依然鎖につながれた状態なので、こう、囚人と看守が深い関係になった感じというべきでしょうか。

知れば知るほどヒロインを近しく感じるのか、死ぬ直前に知己を得たかのように楽しそうに語る朝陽さん。さらに酔いが回ったところで、「相手が君じゃなかったら親友になれたのにな。いや君みたいな子ならきっと速攻でプロポーズしてた」とまさかの100%本音吐露。だ、だからデレデレだってば! そんなデレて大丈夫?? こっちが心配になるじゃないですか…///

※話が逸れますがこの辺の気さくな口調を聞くと三楽さんのフツーの役(同僚役とか)も見てみたいと思いました。オフィスラブとか案外行けるんじゃないでしょうか??

それはともかく、流れで話題はヒロインの婚約者のことに移ります。ここからの会話が物語全体の核心なのですが、うーむ…。どこまで書いてよいものやら。。個人的な基準としてネタバレしても十分面白い作品と、しない方がより楽しめる作品があると思うのですが、これは後者の気がします。というわけでこの部分の説明だけは一応カットしますね。すでに聴いていらっしゃる方には、きちんと語らずカットしてすみません。

 

 

この作品すごいなと思うのは、真相が示唆されるトラック3で余韻を残して終了してもおかしくないところ、続くトラック4まできっちり描かれてる点です。【終末と再生】の名のとおり、二人の「再生」まで。

やはりヒロインが目覚めるシーンから始まりますが、もう鎖は外されています。吹っ切れたような、朗らかな声で朝食に誘う朝陽さん。エエ声で気持ちよさそうに鼻歌まで歌っています。実は昨晩あのあとヒロインの知らないところで恐ろしい事件があったはずなのですが、その片鱗も見せず、むしろ晴れ晴れと。

食後には「このまま俺と逃げないか?」と提案。もうヒロインを復讐の道具にするのはやめたので、家に戻るか、それとも自分の手を取るか、究極の選択をさせます。選択といっても本人に選ばせる体で巧みに誘導していて、ズルいんですけども。。だって戻るは地獄だし、ヒロイン自身すでに朝陽さんに惹かれてますし、ここでそんなふうに上手に口説かれたらますます彼を選ぶしかなくなるじゃん~~!という。

そして最後の最後に、夫婦としてのとびきり甘くて優しいイチャイチャシーンです。この場面はもう、、、三楽さんの色気炸裂という感じですね、はい。。。………………(しばしボーゼン)

しかもこの甘さとセットの背徳感といったら!! あ、ちなみにヒロインがOKした直後しれっと「夫婦」にされます。この夫婦発言もそうだし、朝陽さんがヒロインを「宝物」と言うたび、そこに込められた意味にゾクゾクさせられる仕組み。

ところでトラック1(凌辱)もこのトラック4(濃ゆい愛着)も、最後はヒロインがダメと言うのを無視して中に出しちゃう朝陽さんなのですが、なんつーか、最初と最後でこれほど意味合いが違うとは。そこも妙に感心いたしました。

 

 

なかなか酷な作風かと思いきや予想外にライトに聴けたのは、朝陽さんのキャラクターによるところが大きいです。生真面目で気難しくて神経質そうな性格。しかし知能レベルの高い人特有の、やや頭でっかちでズレた部分もあって、ところどころ真顔でボケたりツンデレな反応をする。そこが愛嬌があってかわいいのです。かわいいなんて言ったら怒られそうだけど。とあるシーンの「ばんざーい!」や「猫耳」の衝撃ったらないぜ…!

犯行前はむしろこういう人間味とは真逆な生活を送ってきたはずです。大切な宝物を失って以来ずっとぽっかり空いた穴を抱えて、無感情に刹那的に。それが復讐のため実行した計画が思わぬ方向に転がっていくにつれ、失ったものを取り戻していき、最終的には自分自身の鎖から解放されるのです。

朝陽さんが計画を開始した冒頭から、ある意味二人にとってハッピーエンドの始まりだったと言えるのではないでしょーか。ヒロインもまた出会うべき相手に出会ったことで、これまでの暗い苦しい人生から解放されたんですから。なので一見悲惨なシチュエーションに見えても、実態は甘い幸福。こういうねじれた幸福もアリだよね、むしろ虐げられ苦しんできた二人にとっては最高の恩寵だよね……と(個人的には)思った次第。あとやっぱりこの設定を最後まで書ききってくれたことに満足です。

ヒロインは結局朝陽さんから真実を教えられないまま一緒になったわけですが、でもあれだけ宝物宝物言われ、ただならぬ雰囲気で愛情を注がれたら、うっすら勘づきますよね。賢い子だし。

このヒロインちゃん、随所で「どうだ怖いだろ!」とドヤ顔で迫る朝陽さんを「そう?」とかわすので(※比喩)、いい味出してました。お化け屋敷でお化けを怖がらない子供みたいに。その斜め上のリアクションが彼を動揺させペースを乱していく様が、変な言い方だけど微笑ましかったですね~。密室シチュなのに全然息苦しくなかったのはそのせいでしょうか? まあ、最後まで聴くとヒロインのそういう反応にも潜在的な理由があったとわかるのですが。

 

 

 

# 本日は以上です。なんだかわけわからん文章になっていたら申し訳ありません…!!

いつもお読みくださる方はありがとうございます。過去記事への拍手ポチポチもとても励まされます。嬉しかったです。また次回~ (*^ω^*)ノ

 

15
  1. あめ より:

    ●拍手返信
    >こばさん
    わ~~~いこばさんこんにちは! メッセージありがとうございます(≧▽≦)

    終末聴かれたんですね^^ 三楽さんファンのこばさん(と勝手に思ってる)ならきっと聴いてるだろうな~と思ってました! 記事読んでいただけて嬉しいです、こんな感想文で恐縮です~(>_< )
    そうですよねぇ、一体どんな殺伐としたシチュが…!?と思いきや朝陽さんがいろいろダダモレで、こんな可愛くていいのかいっ!と動揺しちゃいました。三楽さんのエロスとツンデレの匙加減がまた絶妙で。なんのご褒美ですかねこれは。
    そう、真相部分についても語りたいのですが、ネタバレ考えると難しいですね…! 朝陽さんあの夜彼らに一体何をしたんだろう?とか妄想が膨らみました。。

    あああ、曽根井さん……!!!!!
    なんか痛々しいことになってましたが、実はちょっと楽しみでもあります(笑) 堀川さんのシナリオってぶっ飛んではいても聴き手を不快にさせるような胸糞な展開にはほぼならないので、そこは安心して聴けるな~と。どんな状況になっちゃってもまあ笑って流せるよな~と。(…すみません深夜のテンションで今すごい勝手なこと言ってます…)
    あと去年豹変お兄ちゃんを経験してしまった以上、もうどんな河村さんでも受け入れられる心境が出来上がってますね^^; 慣れっておそろしい。

    ふぁーーー!!!!! 作品も! ありがとうございます! お答えいただけてとっても嬉しいです♪ おこがましくなんてないですよう、どんどん教えてくださいよう(*´ω`*)
    髭内さんにドはまりしてるんですか~~~! いいっすよね、大人でワイルドで、雄の声って感じで。髭内さんにしか出せない独特な色気があると思います…///
    「二輪草」気になってました! お声にマッチしてるんですか?? キャラもストーリーもよさそうですし、ライターさんも好きですし、買います!(早)

    「蓮華」楽しみですよね。鬼の頭領さんって(似合う…!)。兄貴分のようなキャラみたいですが。続報早く出ないかなあ。。待ち遠しいです(#^^#)

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