ボーイミーツな

◆今度、君に会えたら

レーベル: からあげサイクル
CV: 皇帝
シナリオ: 木原梨花
イラスト: 山悠希
2017年11月15日発売

登場キャラ:
水無瀬梓

31歳 画家
世の中に溶け込めず、いつも寂しいと思っていた。
思ったことをすぐに口に出してしまう。
本人も自分が辛辣で他人とうまく行かないことを自覚している。

 

あらすじを読んで何となく惹かれるものがあったので購入してみました。

皇帝さん演じる画家の水無瀬さんは、初対面こそシニカルな印象ですが実は寂しがり屋で人懐っこいところもあり、でも普通の人と違って何かがちょっと「欠けている」感じがする人物。皇さんのボイスは通常よりも若干語尾がソフト(もともとソフトですが)で、軽やかなトーンです。

婚約破棄のため傷心のヒロインが森の中で偶然水無瀬さんと出会うところから物語が始まります。

ど田舎の山奥にあるアトリエ兼自宅で人付き合いを避けながら絵を描いて生計を立てている…という、若くして仙人みたいな暮らしの水無瀬さん。(それでちゃんと暮らせているのか気になるけども)

初対面のヒロインから婚約破棄の理由を聞き出して「陳腐」と言い捨てたかと思えば、「君の傷ついている顔すごく素敵だ」と微笑みかけたり。ヒロインからすると最初の印象は最悪ってやつでしょうけど、水無瀬さんはあくまでマイペースな態度を崩しません。相手の顔色を見て言葉を選ぶことはしない主義のようです。

数日後、地元のスーパーでばったり再会した二人。ヒロインにごく親しげに話しかけてくる水無瀬さん、どうやら人恋しかったのか、少しうきうきした様子。料理は苦手、かといって外食も緊張するから嫌、だからこの際ぜひヒロインに手料理を作ってほしいと、ナイーブなんだか図々しいんだかわからないお願いをしてきます。

押し切られるような形でヒロインは水無瀬さんの家にやって来ます。カレーを作って二人で食事。誰かと一緒に食べるのも喋るのも久しぶりだとしみじみ話す水無瀬さん。失恋したばかりのヒロインと揃って寂しい者同士だよね…ってわけで、まるで人肌の温かさに惹かれるように、自然な流れでキスし始めます。

えっ、もう手出しちゃうの。早いなあ。ってまあ家に来た時点でそうなるよね。にしても早いなあ……

と思っていたら、「こうやって誰か別の人で代用することもできたんだね」とぽつり。
このセリフにびっくりしたヒロインが思わず突き飛ばすと、水無瀬さんもびっくり。傷つけるつもりで発言したのではなく、あくまで思ったままを正直に言ってるんだという態度。この辺りがちょっと「欠けている」感じがする部分。

詳しく話を聞くと、7年前に水無瀬さんにとって大きな出来事が起こり、それ以降ずっと、山奥で一人きりで絵を描く生活を続けてきたということがわかります。今の彼の欠けた印象もその出来事から来ているようで。

それでも、

「このあいだ森の中で君に出会って、帰ってきて一人になったら、やけに寒かったんだ。すっかり忘れてたつもりだったのにな」
「だから、責任とって温めてよ」

…と殺し(?)文句。

そこからなし崩し的なシチュエーションで肌を合わせることに。
最初の行為シーンはあっさり目です。ちょっと意地悪な発言もしますが、もともとの水無瀬さんの雰囲気と特に変わらず、嫌味もないです。むしろいたずらっぽく笑ってヒロインを可愛がってる感がいいですね。

その後。ヒロインの絵を描きたいと申し出る水無瀬さん。
彼にとっては言葉よりも描くことで感情表現できるし、絵でヒロインに自分の気持ちを伝えることもできるから。実際にスケッチする場面では、画家としての水無瀬さんの考え方がわかるようなセリフ回しになっています。

ちなみにここで描いたのは裸婦画(ヒロインちゃんが…)というわけで、ストーリー的にまあ当然ですよねって流れで2回目のシーンに突入。ここはなんだか、水無瀬さんがヒロインの体を観察しつつ愛でているような、目や手の感触を大事にしているような印象です。絵を描く場面がそのまま続いているようでもあって。もちろん1回目より濃度も上がります。

ヒロインに触れ、愛し合ううちに、水無瀬さんの中の欠けていた感情が満たされていく…。その極まったところで、不意に涙を流すシーンがよかったです。

最後は再会を約束(ヒロインはしばらく実家に滞在していただけなので)というちょっと切ない終わり方。でも後味爽やかです。これは絶対早々に会いに戻って来ないといけないですね、ヒロインちゃんは。じゃないと7年も一人きりだった水無瀬さんだから、きっとこの先もいつまでもずーっと待ち続けてますぞ。。

限りなくどうでもいいですが、この最後の1シーン、水無瀬さんが用意したコーヒーを飲みながら二人で会話っていうのが気に入ってます。恋人同士(特に事後)がマグカップかなんか持って隣り合って座ってる光景、なぜかすごいツボなんですよね~。…ってほんと個人的な好みすぎてすみません。

「失恋」「感情を取り戻すこと」をテーマにした物語ですが、重くなりすぎずさらりと聴ける一枚だと思います。ああシチュCDだなあって感じのボーイ・ミーツ・ガールな物語ではないでしょうか。いやボーイって歳でもないですけど。水無瀬さんはかなりマイペースな方ですが愛嬌もあって、憎めない人です。あとその職業設定どこ行ったみたいな作品もたまにある中で、本作はちゃんと画家っぽさが出ていたのもよかったと(勝手に)思ってます。

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