荒療治

◆君がすべて

レーベル: ケイズ・エンターテイメント
CV: 柏木誉
シナリオ: 滝宮那智
イラスト: 七海かずさ
2017年10月10日発売

登場キャラ:
伏見誠也

28歳。『あなた』の5つ上の幼馴染。母子家庭で、母親とも折り合いが悪かったため親同士が親友である『あなた』の家に、幼少期はほとんどの時間預けられていた。『あなた』自身も親が会社を経営しており、不在のことが多かったため、面倒は誠也がみていた。その当時、『あなた』がベランダから落ちそうになり、助けようとした誠也が代わりに落下し、誠也の右腕には未だに後遺症が残っている。

キャラ設定見ただけで「これ買うわ」と思ったやつです。

公式やシナリオライターさんが警告していたように、女性優位・女性攻めです。それはもう完膚なきまで。

確かにこれは…人を選びまくるなあ……

甘やかされたり気持ちよくしてもらわなくても別にいーよ☆って人だけ聴くべきだと思います。果たしてそんなリスナーいるのかな(笑) あと多少なりとも自分がMだと思う人は絶対に聴くべきではないですね。あ、BL聴きなれてる人からすれば普通かも? 詳しくなくてスミマセン。

私はこういう作品もいいと思いました。シチュCDのよくあるいちゃいちゃ概念の斜め上を行きまくってて。というかいちゃいちゃって言葉が愕然とするほど似合わない。

個人的にはその点がすごく面白かったです。ただ日常的に聴きたいとは思わないかな。気持ちが元気な時にしか聴けなさそうです。(まあヤンデレ系はどれもそうですが)

なぜかって、行為シーンを抜きにしても結構しんどい内容なので。設定見ればわかりますよね。でもどうにも惹かれてしまうものがあります。

一言で言わせていただきますと、

もう、、、クソ重ーーーい! しんどい!! でも好き!!!

って感じですかね(^-^)b

 

誠也さん、初っ端から情緒不安定な雰囲気です。かつて兄妹のように過ごしていた二人が数年ぶりに再会するところから物語が始まって。

10代半ばの頃、突然ヒロインの前からいなくなってしまった誠也さん。再会しても避けようとする彼をヒロインが問いつめ、右腕の後遺症について聞きだします。要は、身体的には完治しているはずなのになぜか「痛み」と「興奮」の症状が出てしてしまう。それを薬で無理矢理抑えている状態だそうです。

そんな誠也さんに、ヒロインが『助けてあげる』と告げます。そこから奇妙な関係に陥るわけでして。

奇妙な関係というのはまあ…体の関係なんですけど。そうですね、書ける範囲で書きますと

「ちょっとそれ!一歩誤ると精神ぶっ壊すから!」とか「ガッチガチの依存かよ…」とか「なんっっでヒロインそんなの持ってるんだよおおお!!」…って、ツッコミ入れたくなる感じでしょうか。すみません口汚い&わけわからないですね。

えーと、つまり踏んだり縛ったり(これ危険)、とんでもないグッズを使ったりして攻めます。ひたすら攻められる誠也さん、喘ぎが完全にMです。ヒロインは自分の体には終盤までほとんど触れさせません。

こんなふうに主導権握る年下の女の子なので、最初は「うわあ~~(小)悪魔にしか見えない。小をつけるべきかつけざるべきかもわからない。。」とか思っていたのですが、違いました。最後まで聴いて考えを改めました。

結局誠也さんはヒロインと関係することで、

・ヒロインを身を挺して助けたことを後悔しているわけでもないのに、なぜ右腕に症状が起こるのかわからない。

という迷子の状態から、

・この右腕は「ヒロインを助けられた」という証だからこそ、症状=快感が生まれるんだ。

という気づきを得られたわけで。

これが全体のハイライト、「君がすべて」というタイトルに関わる場面です。まあ君がすべてというか「俺を君のものにして」なんですけど。

そのあたり、トラック4<腕の痛み>の5分過ぎからの誠也さんのセリフ。ここ、柏木さん本当にすごいと思いました。鳥肌立ちました。

誠也さんからこの発言を引き出したヒロインちゃんはある意味「治療者」だったんじゃないかと思います。『助けてあげる』って提案は本当にそのとおりだった。荒療治でも何でも、誠也さんにとっての精神的な治療になっていたのなら、この奇妙な関係でも正解だったんだろーな。

結末では、子供の頃のような二人ぼっち状態に帰ります。ずっと居場所がなくて、かつてヒロインと過ごした時期だけが幸せだった誠也さんが、またヒロインの元に戻って来て、ヒロインもそのために何もかも捨てて(もしや計画通り?)、一緒に生きていく道を見つけた。支配−被支配の関係ではあるけど、悪い意味での依存関係ではないように思います。ヒロインの存在が毒ではなく薬になってる感じ。劇薬…ではないはず。

この作品、誠也さんが家族愛に恵まれていないうえ、ヒロインとのちょっとした格差が垣間見えたりする点が、キャラクターに説得力を持たせている気がしました。あと二人でお菓子食べながら昔の話をするシーンが印象的。