愛玩人形3 / Gastronomie2

投稿者: | 2018-1-06 土 23:45

購入直後は佐和さんの4巻が好きだ~と書いたのですが、それとは別に聴けば聴くほど気に入ってきたのがこの3巻です。

 

◆愛玩人形あるいはアダムの肋骨 巻ノ三 ~闇を秘めし若き陸軍中尉~

レーベル:NiNO
CV:蒼井夕真
シナリオ:夜明乃幽綺
イラスト:さんば
2015年5月発売

登場キャラ:
芹澤 忍

24歳 大日本帝国陸軍 中尉
仲間に相談を受けるも、迷いがあったために2.26事件に参加せず、事件時には仲間を制圧した。人当りが良く、優しい性格だが、事件以来、死んでいった仲間を思い、死を望むようになる。

 

甘く掠れたボイスの二枚目ヤンデレが好きな人集合!(私だ)

芹澤さんのこのうっとり陶酔したような、いい意味で芝居がかった喋り方が魅力です。

あとこの巻は特にセリフが技巧的で、センチメンタルな比喩とか聖書からの引用など、いろいろと凝ってるので聴き飽きないです。

お話自体はシンプル。まあ……相手は魂をもたない人形ですし、設定のとおり最初から自殺願望のあるキャラだし、時代が時代ってわけで、救いのない展開です。

前巻エンディングのあと上海から日本に戻され、陸軍研究所に保管されたまま忘れられていた人形ヒロイン。

人形の次の持ち主となったのが陸軍中尉の芹澤さん。彼の幼少期の初恋の女性が西園寺博士の妻で、死んだ彼女に生き写しの人形があるとの噂を耳にして引き取りを申し出ます。初見で人形に心を奪われた彼は、毎夜自宅の土蔵で家族の目を盗んでこっそり溺愛するようになります。

最初、唇にキスして普通の人形とは違うと気づいたときの反応「なんだ、これは驚いた。人形だなんて嘘でしょ。女だ。まったく女じゃないか!」—- こんな感じの芝居がかったセリフが多いけど、自然で全く違和感ないです。声が優しいしリズムがよくて。耳元で囁かれると効果大です。「~でしょ」「~だよね?」の語尾がいいですね。あははうふふの笑い方もうっすら狂ってて雰囲気あるなあ…

とはいえ芹澤さん、人形に夢中になるあまり周囲が見えていません。そのうえただ初恋の思い出として可愛がるだけでなく、ブラックな欲望もチラホラ。

物柔らかに見えて所有欲・支配欲が妙に強い性格のようで、人形に対して愛憎半ばといった感じです。子供の頃、清らかで優しい西園寺妻を見て無自覚に抱いていたやましい願望。そして死後人形(芹澤さんが言うには「娼婦」)の姿に堕ちて他の男たちを誘惑してきたことへの憎しみ。「僕はずっとあなたを許せなかったんだ」 「もっと徹底的にあなたを汚し尽くすほど愛してあげなくちゃ」。そう言って人形との行為にどんどんのめり込んでいきます。

作中、聖書の一節『女よ、なぜ泣いているのか。だれを捜しているのか』がたびたび引用されます。「女」=マグダラのマリア(娼婦だったが信仰によって許された女性)を人形に重ね、娼婦として蔑むと同時に聖女として崇拝。このトラックごとのサディズムとマゾヒズムの切り替わりが面白いです。それにしても芹澤さん情緒不安定だなあ。。

トラック3の終わりで2.26事件で仲間を裏切ったことを悔やんでいるとの告白があり、精神的に相当追い詰められていることが明らかになります。

僕はね、実は半分死んでるんだ

慰めてくれるの? ありがとう。あなただけだよ。僕の気持ちをわかってくれるのは

僕はもうだいぶ壊れている。きっと君より壊れている。だからもしその時が来たら一緒に死んでくれるかな?

そして続くトラック4で外の状況が悪化すると、彼自身がまとう鬱っぽい空気も増大。

ねえ、あなたからも僕を抱きしめて。僕が消えてしまわないように。死に引きずられていかないように

と人形にすがります。

ここのとこずっと眠れなかった。今なら、あなたとなら眠れそうなんだ。このまま夜明けまで僕を抱いていて。マリア様に抱かれてるみたいな気分だよ。何日ぶりだろう。こんな安らかな気持ちになれたのは…

このあたりのセリフが好きです。

…って、つい甘いセリフばかり引用しちゃいますが、もちろん甘いだけのお話ではないですね^^;  「えっ」と思うようなちょい過激なプレイが出てくるのがこのシリーズ。人形の反応がほぼないし、他のセリフに気をとられてついスルーしちゃいますけども。。

しだいに現実と夢想の区別がつかなくなり正気を失う芹澤さん。人形を文字どおり人間の女と思い込み、家族に咎められ、狂った果てに悲壮な結末を迎えます。こういう話なんとなくどこかで見た気がするなあ~と思ったのですが、ひょっとすると乱歩のこの小説も意識されてるのかもしれません。人目を盗んで蔵で夜中に…とか、終わりの迎え方とか。他にもモデルはいろいろありそうだ。。

最後、再びマグダラのマリアを引用して、「『女』はあなたではなかった。遠いあの日、あなたを失った僕だった」とつぶやく場面がひたすら寂しいです。

 

 

 

 

 

せっかく蒼井さんだしNiNOさんだしってことで、今日はもう一作。

 

◆Gastronomie~ご主人様とメイドの美食倶楽部~第弐巻:大江静也主催

レーベル:NiNO
CV:蒼井夕真
イラスト:さんば
2017年8月発売

登場キャラ:
大江 静也

慇懃無礼、仕事とお金が好きな効率主義者にして、人を上から見下すマキャベリ主義者。しかし、意外と世話好きでマメな性格。ワーカーホリックで、仕事のストレス発散方法は美食。亜蘭、十影とは元同級生で、幼少期からの腐れ縁。ふたりに振り回されつつ、常に付き合いがいい。

 

…とはいえ作風もキャラも全然違いますね。こちらはコメディ寄り。とても好きなシリーズです。

一番常識ありそうな静也さんの巻。このキャラ絵や設定を見ますともっとクールで感情薄めな堅物を思い浮かべましたが、予想と違って冒頭からだいぶ賑やかで喜怒哀楽豊かなお人でした。

美食倶楽部に食材として届けられた記憶喪失のヒロインをメイドに仕立てる共通展開。ご主人様がメイドをひたすらマニアックに愛でる様子を眺めるだけの作品です。なんて愉快なナンセンス。

冒頭の出会い→(1年経過)→職場でイチャイチャ→風呂でイチャイチャ→風呂上りにイチャイチャ→晩餐会の前に仮眠とって寝起きで締め。以上!

1巻と違うのは、気づけばご主人様がメイドに主導権握られている点。職場やら風呂やらでだいぶ淫らにお戯れになってますが、静也さんの方が翻弄されがちのようです。最初の仕掛けや言葉責めは静也さん担当なのに、いつの間にかそれを上回ってヒロインが積極的に攻めてます。いわく「始めるまではあんなに嫌がって恥ずかしがるのに、一度始めると止まらない」そうで。(好き!) しかし何回ヒロインちゃんにイかされてるんだこの人。。

俺はお前のしつけに失敗したとしか言いようがない」と静也さん自ら認めております。これじゃ慇懃無礼なマキャベリスト設定どこ行ったって感じなのですが…。いやきっと惚れた女の前以外ではもっとビシッと真面目なんだと思う! 普段あまりに苦労してるから可愛いメイドさんの前でくらいデレデレしたいんだと思う!

ともかく静也さんの薄幸感はかなり伝わってきました。4人の中では最もまともで人がよさそう。そのせいで亜蘭さんはじめ周囲の人間に引っ張りまわされ、こき使われる毎日のようです。

トラック2で厄介事をもってオフィスを訪問してきた亜蘭さんに、「俺の人生に起きた悪いことは全部!お前ら二人のせいなんだぞ!!」と畳みかけるようにわめいた揚げ句、耳を引っ張られたり襟を締め上げられるシーン。かわいそうで声を上げて笑ってしまいました。

最後のトラックの「いつまでメイドごっこをするのかって? いつまでもするつもりだが。何か不都合がありますか、奥様?」という発言で、あ、夫婦になってたのね、ごっこだったのね、とまた笑っちゃいました。なんだそういうプレイだったんですか。まったくかわいい夫婦!!

実は1巻と比べてBGMの入れ方がちょっとザツな気がするとか、セリフがフランクで1940年代後半設定にそぐわない(レトロ感が減ってる)とか、トラック3は風呂シーン以外がよかった(1巻も風呂だったので)とか、個人的にびみょ~に残念な点もあったのですが、まあそんなのは小うるさい指摘ですね。。全体的にかなり笑えたのでマイナスイメージはありません。何より静也さんに愛嬌があります。

さきほどの愛玩人形とは見てのとおり全然異なる作風ですが、最初のうちは「娼婦」と言って蔑みつつ、いつの間にかどっぷり惚れ込んで愛玩対象にして、ヒロインなしではいられなくなってる点がなんとな~く似てるよなあ…と感じました。そういや芹澤さんも静也さんもヒロイン吊るしてたしな。。

 

 

ところで今月11日にやっと第3巻(医者の弓彦先生編)が出ますね。これまた楽しみ~~~!

 

 

以上、散漫な感じですが今日はこのあたりで。

前回拍手ポチってくださった方、どうもありがとうございました★ いつもたくさんパワーをいただいております!

また次回(^^)/

 

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