愛玩人形

◆愛玩人形あるいはアダムの肋骨 巻ノ四 ~淫慾に魅入られし海軍将校~


レーベル: NiNO
CV: 佐和真中
シナリオ: 夜明乃幽綺
イラスト: さんば
2015年6月発売

登場キャラ:
堤清十郎

29歳 大日本帝国海軍 将校
駆逐艦に乗っており、レイテ沖海戦に参加する。芹澤の従兄弟。傲岸不遜な軍人気質。

 

フッ ま~たずいぶん前の作品を…(スミマセン!)

前々から欲しかった愛玩人形全5巻、このたび一気にドバッと買っちゃいました。今更感満載ですがよろしければお付き合いください。あ、ネタバレです。

 

▲バナーあったのでリンク貼っときます!

 

 

 

コトの始まりは大正12年、天才科学者(もといマッドサイエンティスト)の西園寺博士が病死した最愛の妻を蘇らせようとして作った一体の人形。それは妻の細胞を元に再生した機械仕掛けの人造人間だった。永遠に美しいまま滅ぶことのない肉体を持った彼女は、感情も痛覚もなく、歩行も会話もできないけれど、ただ「快楽」を感じる機能だけは備えていた。博士は日々人形を愛し、狂ったようにその体を抱くが、いくら肉体は完璧でもそこに妻の魂が宿ることはなかった

….ってのが巻ノ一。

関東大震災の日、軍に非協力的だった西園寺博士を殺害し混乱に乗じて人形を奪い去ったのが、陸軍将校の桐嶋(巻ノ二の主役)。桐嶋はその後上海に左遷され、軍の工作員として底辺の生活を送り自暴自棄になっていたが、人形と生活を共にし、彼女を愛することでわずかな希望を見出す。しかしスパイ活動のため満鉄で大連に向かう途上で襲撃を受け死亡。

桐嶋の死に際に暗号文を託された人形は奇跡的に陸軍に回収された。大陸から本国に戻された後はそのまま存在を忘れられていたが、陸軍中尉・芹澤が引き取りを申し出る。人形は彼の幼少期の初恋の女性に生き写しだった。2.26事件で友人達を裏切ったことを悔やみ自殺願望のあった芹澤は、外界から逃避するように人形と睦み合う。人形への溺愛と軍内部への絶望で彼の精神は狂気を増し、最後は自ら死を選ぶ。これが巻ノ三。

芹澤自殺から5年後、開戦の年。人形は彼の従兄弟の海軍将校・堤清十郎の手に渡る。はじめは人形を見下していた堤だが、しだいに深く情が湧きいつしか彼女を手放せなくなる。しかし昭和19年、敗色濃厚ななか少佐の彼にも出撃命令が下る。レイテ沖に浮かぶ艦上で死を覚悟しつつ最後に人形と交わってから、彼女を棺に横たえ海に沈め、別れを告げる。

…そんな巻ノ四。

 

あらすじ紹介って難しいなあ。自分の頭整理するためにも書いたのですが、だいぶ乱文ポエム調ですな(恥ずかし~)。5巻については大事なエンディング的位置づけなので控えます。

 

【個人的に刺さったところ】

  • 舞台が戦前~戦中~戦後
  • 登場人物が軍人、科学者、諜報員
  • 殺伐とした陰鬱な世界観&歪んだ愛
  • 1巻から5巻まで一体の人形(ヒロイン)を巡って連綿とつながるストーリー
  • 男は人形に出会うことで救われると同時に運命狂わされていく
  • 周囲から孤立した男と人形が二人ぼっちでドン詰まっていく
  • ジャケ絵もめちゃくちゃ素敵だよね


【ここが注意点(かも?)】

  • エロよりセリフ回しや雰囲気重視
  • 凌辱、無理やり系の発言多め
  • ヒロイン同化ではなく完全に第三者視点(人形なのでね)

 

“戦時中の混沌とした時代を舞台に、一人の科学者が生み出した「人形」として無抵抗なまま様々な男たちに愛玩されるシチュエーションを体験することのできるCD”

というのが公式さんのキャッチコピー。

けどまあ上に書いたとおり人形に同化して聴くのは難しいんじゃないかな~と思います。

そのせいなのか何なのか、今回行為シーンに全くもって反応しなかったです。珍しくエロがメインディッシュじゃないというか…。いや、考えてみたらヤンデレ系・闇系はどれもその傾向がありますね。ひたすら生態観察してるよーな気持ち。

濡れ場の分量は全体的に多いはずなんだけど、それも語りの一部になっちゃってるような。こちらは「ふむふむ」と聴いてるだけ(笑)

個人的にはそれで全然OKでした。というのも、設定やセリフがよく練られていて、そこが一番楽しかったから。語りのウェイトがかなり大きいので聴く側も集中力が必要です。巻ノ四なんて尺が79分もあってびっくり。。

これセリフ量ハンパないんじゃないですかね~? とにかく男性がずっと一方的に喋り倒してる感。シチュCDって時点でどれも一方的な語りかけですけど、この作品はなぜかそう強く感じました。物言わぬ人形相手と考えれば当然ですかね。

普通はヒロインの反応を表現するためセリフとセリフの間がもうちょっと空くように思うのですが、これはほぼ間がない印象です。人形さん、カラクリ音SE(ギーギーギシギシ)が鳴るだけで、人語を一切発しないのです。行為の際の身体的反応はあるそうですが。それも含めて男性が全部ベラベラ状況説明しどおしで、もはや男性側の妄想なんだか人形が本当に反応してるんだか区別つかない時もあります。(そう思わせるのが狙いなんだと思います。。)

この男性のセリフ回しがまた面白くて。滔々とまくしたてていたかと思えば、ほんの一言で態度をガラッと豹変させる。結構なジェットコースターです。人形への侮蔑・執着・憎悪・愛着・慈しみetc…の、いろんな感情の間を行ったり来たり。さっきも言いましたが結構集中しないとついていけなくなります。って自分よっぽど集中力ないのな!

全5巻で話が脈々とつながっていますが、謎や伏線、難解なところは全然ないので、試しにどれか1巻だけ聴くってのもアリじゃないでしょうか。巻ノ五だけは最後に回すべきですが。

人間の女性を象った人形に対し現実と空想の境目もつかないほど感情移入すること。人形愛。「ピグマリオニズム」って言うみたいですが。こういうモチーフの話よく聞きますよね。古今東西、物語の類型らしいです。

巻ノ一で西園寺博士が人形を生み出したのは妻の死がきっかけでした。その後人形は博士の元を離れ、複数の軍人たちの手に委ねられて、時代の流れとともに数奇な運命をたどります。男たちに愛玩され、彼らの死を見届けつつ各地を移動して、最後にまた運命が巡って「彼」と出会い、人形もまた生まれ変わる。…ざっと言うとそんなドラマ。最後はまさにピグマリオン伝説。

これだけの世界観なので、各場面のSEがもっと本格的だったらより素敵だったのに~(特に銃声とか)と思わなくもないですが、まあそれは求めすぎかな。。

個人的には大正とか昭和とか大陸とか海軍とか将校とか軍艦って単語聴くだけでコーフンして萌えたぎるんで、もうこんな設定のシチュCDがあるだけで嬉しかったです。正直言って完全に雰囲気重視&設定萌えでありました!(いや設定は大事なんすよ設定は!)

まだ数回ずつしか聴いてませんが、聴き込むうちに細部の印象が変わっていきそうな気もします。聞き落としてる箇所も絶対ありそうだし。とりあえず今の時点で感じたこと、思ったことだけ書いてます。

それにしても各巻ジャケ絵が美麗だなああ~~。 Gastronomieと同じ絵師さんですよね。ヒロインちゃんの美貌がしっかり出てるのもいいです。ふつくしい…。もう、「美」の一言!! 背景もシチュCDでは珍しいくらい細かく描き込まれていて。あ、背景でひとつ気づいたことがあるので最後に書きます。

 

 

なんだかほぼ全体を語る記事になっちゃってますね。どの巻もいいですが、私は第4巻の堤さんのお話(CV佐和さん)が特に気に入ってます。キャラクターも内容もこれが一番と勝手に思ってます。

というか何より、佐和さんの軍人役がめーちゃーくーちゃー好みです~~~!! いや佐和さんはどんな役も全く違和感なくて本当に怖いくらいなのですが、特にこんなクールな低音の堅物軍人なんて。グサグサ刺さりまくりですよう~~。あと言わずもがな、いつもながらリップ音や喘ぎの色気!!

 

…4巻の好きなシーンについて少しだけ述べさせてください。

各巻、人形に不具合が生じた際に男性キャラがお世話(メンテナンス)する描写が出てくるのですが、マメ度・世話焼き度は堤さんが一等賞では。

トラック4【調律される女】。見よう見まねで人形の古くなった人工血液を取り換えようと試みるシーン。

おい、不安そうな顔をするな。こう見えても手先は器用だ
っ、どうかしてる。人形相手に何を言ってるのだ俺は

と自己ツッコミ&釈明するのがなんだか可愛いです。

夏の炎天下で作業中、ミンミン音が癇に障って蝉相手にブチ切れてから(この「おい蝉うるさいぞ!」の怒鳴り方もサイコー)、ふと人形に向き直って、

…おい。お前まさか今、俺を笑ったりしていないよな

と睨んだり。いつの間にか人形と会話しちゃってます。

もともとマメな人なので、メンテが終わる頃にはすっかり人形に情が湧いてるのです。そこが何とも人間味があって好き。そうやって自ら手入れを重ねることでただの「道具」ではない別の愛着が湧いてくる。なんでもないシーンに見えるけど、この二人の時間が束の間の平和なんですよね。

メンテナンスしたり肌に触れたり話しかけたりするうちに、人間らしさを取り戻しているんです。暗い死に満ちた時代の中で、幸福とか愛情とか安らぎみたいなものを人形によって一瞬だけ得られる。で、軍人である自分が人形相手にそこまで夢中になっていることに気づいて動揺し、動揺を打ち消すように邪険に扱ってみせたり。でもそれも結局自分の性欲処理になってるもんだから(人形は抵抗しない)、また自嘲を誘う。

そんなふうに感情が翻弄されてる時点でもう完全に中毒症状なわけです。従兄弟の芹澤と同じようにすっかり人形に囚われてしまってます。本人もそれを十分自覚してます。

いずれにせよ破滅(=軍人として戦死)は近づいてるから、傍目には逃避行動でしかないのですが。

最後、死を目前にした時には、意地も見栄も捨てて人形に愛おしげに話しかけるようになります。

こうなってしまえば、人も人形もないな。俺もお前も、何ら変わりはしない

お前の目には俺はどう映っている。俺はお前にふさわしいだけの器量を備えた男に見えているか

俺にとってお前は、ほんのわずかな時のことであっても、この世に一人しか存在しない大切な恋人なのだ

生きて、生きてほしいのだ。そうすれば、いつの日か誰かがお前を棺から取り出して愛を与えるだろう

ありがとう。この狂った時代の中でお前だけが俺の救いだった

こう言わしめるほどに。。無駄にいっぱい引用しちゃいましたが、特に最後のトラック【未来への棺】はいいセリフばかりです。

傲岸不遜な堅物将校さんが、最初蔑んでた人形に知らず知らず侵食され、しまいには彼女なしでは生きていけなくなる。そんなシンプルな話です。支配していたつもりが逆に支配されていた、といいますか。人形は何もしていない、自力では何もできないはずなんですけどね。不思議な魔力をもった人形ちゃん。。

決して綺麗なシーンばかりじゃないし、甘さもほとんどないですけど、個人的にはすごく気に入ってます。

 

 

長々書いてきたわりにあまり焦点の合わない感想文ですね…。読みにくかったら申し訳ありません。

他に気になった点といえば、

  • 各巻ジャケの背景に蝶々のモチーフが。蝶というとダブリルさんの迷蝶シリーズを思い出しますが、これって生まれ変わりとか流転のイメージがあるんでしょうか? それとも単に女性のイメージ?(ちゃんと調べてない)
  • 「Gastronomie」の亜蘭さんのなんちゃって探偵事件に出て来た西園寺家ってもしや西園寺博士のパロ? そうだとすると他にもガストロ中にパロディあるかも? (聴きなおそーっと!)

…というあたり。

 

とりあえずこの辺で締めます~。他の巻についてはそのうち改めて書くかもです。(※リクエストありましたらお気軽に!)

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。

あ、以前の記事に拍手ポチっとしてくださった貴女様、大変感謝しておりますーー♪  そのひと手間が本当に本当に嬉しいです!

明日あたりから新作が続々発売ですね! わーいわーい!(って、ど~せだいたい発売日には届かないけどな!←ド田舎ゆえ)

当ブログ次の更新は22日以降になりそうです。お時間あればまた遊びに来てくださいませませっ(・ω・)/

 

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  1. あめ より:

    ●拍手返信
    >ハルさん
    はじめまして! 拍手もメッセージもありがとうございます(*^▽^*)

    最近シチュCD沼にはまったのですね~~っ。私もまだまだ新参者です! しかし日を追うごとに抜け出せなくなってます。なんて中毒性のあるコンテンツ(笑)

    佐和さんの少佐役、きりっとしててカッコイイです~。低音の色気も…(*´`*) 特殊な設定が苦手でなければぜひぜひ! 他の巻もそれぞれ色が違って聴きごたえがありましたよ★

    かなり偏ったチョイスばかりのブログでして、王道が少なく申し訳ないのですが、少しでもハルさんの参考になっていれば嬉しいです~(>_<)

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