カフネ1

◆文豪達のカフネ 第一巻 綾織武郎

レーベル: Chouette
CV: 河村眞人
シナリオ: アザミ白秋
イラスト: やすだしのぐ
2017年10月27日発売

登場キャラ:
綾織武郎

 

カフネって…?と検索かけたらブラジルポルトガル語でcafune →「恋人の髪をすく行為」(動詞)とか出てきたんですけど、これで合ってるんでしょうかね。だとしたら素敵なタイトルです。

聴いた直後の感想としましては、なんというか……想像よりも良質なヤンデレで嬉しくなりました(笑)

いい意味でわかりやすくコンパクトにまとまったストーリー。起承転結はっきりしてるので聴いてて迷子にならないです。

パッケージも素敵なんですよね~。ディスク外したところの面が本の奥付ふうになっていたり、ジャケのキャラ設定文に旧字体使ってたり。あ、あとステンドグラス! ←これについては最後で。

それと綾織さんのあのロープ・イン・ハンドで迫ってくる絵(パケ裏)のインパクト。ついついじーっと眺めてしまいます。やすださんさすがです…!!

キャラ絵も設定もよく見ると作り込まれていて。後続が俄然楽しみになりました。

にしてもこの時代の一部のブンゴーの恋愛模様ってすごいスキャンダラスですよね。スケールが違うっていうか。題材としては申し分ないですね。あと当時はやっぱり男尊女卑的な社会制度とか思想が前提だった時代で。そこをいかにフィクションとして上手に料理してるかが注目ポイントですよね~。シチュCD的乙女設定にどう変換されてるか。元ネタあるやつとか歴史モノって個人的にどうしてもその辺が気になってしまうんですけども。(めんどくさい奴^^;)

でもこの作品は外枠から丁寧に作られていて好きだなあと思いました。

 

一言で言うとこの作品、“死にたがりの綾織さんが道連れにできる運命の女性(ヒロイン)と出会って本懐を遂げるお話”です。

ヒロインは「女流作家」であり、「許婚の女癖の悪さと暴力に悩まされている」という設定。

冒頭、ひょんなことから綾織さんと出会って会話して、彼の厭世的な思想に共鳴するヒロイン。綾織さんも自分を肯定してくれる相手に初めて出会えた嬉しさでいっぱい。二人はあっという間に惹かれ合います。

金髪碧眼のお人形みたいな美形で、おそらく女性にモテまくるであろう綾織さん。理想主義を掲げる派閥の作家なので純粋かつ求道的な人物像かと思いきや、もう初っ端から厭世モードなんですよね。父親との確執やら世間的な生きづらさやら派閥での孤立やらで、生きることを諦めています。すでに信仰も捨てています。

きわめて上品で柔らかな物腰で、人柄も優しいんだけど、本懐を遂げること(=自殺願望)だけは絶対に譲らない。そんな空気が伝わってくる人物です。そこへ自分を理解してくれる唯一の女性と出会ってしまったものだから、まあベタ惚れしないわけがない。

ヒロインは最初の会話ですぐに綾織さんの考え方に共感を示します。といっても「厭世的」であることに惹かれたのであって、当初は「死」の願望はなかったと思うんですけど。

それから頻繁に会って会話を重ね、親密になる二人。ある時綾織さんが自分の気持ちを告白しますが、ヒロインは世間体もあって断らざるをえません。

このシーンでわりとさらっと「許嫁とは別れて僕のところへ来なよ」と言っちゃう綾織さん。社会的な通念からあっさり離れて不貞のススメ。。トラック3は『鴉の雌雄』というのですが、調べてみるとこの言葉には「物事の是非や善悪が判断しにくいこと」って意味があるそうで。つまり、ヒロインが少しずつ綾織さんの思想の色に染まっていく様子を暗示しているのかもしれません。最初は許嫁の元から離れるなんて考えもしなかったヒロインが、告白されて初めてその可能性に気づく…みたいな。でもこの時点では断って、綾織さんも彼女の立場に理解を示します。

にしても「あの世に行っても愛してあげるから」っていう綾織さんの告白セリフは重いですねえ。常にソフトな口調なんですけども、爽やかに重いことを言うのです(笑)

ちなみにこの時代(=モデルになってる昭和初期)は、姦通罪があったんですよね。まあヒロインは婚前なので有罪にはならないでしょうけど。世間的な価値観としては女性の不貞は裁かれるべきものだったわけです。

ある雨の日、ヒロインが頬を腫らして綾織さんの前に現れます。綾織さんは動揺しながら彼女を自宅に迎え入れます。

ここでいろいろ問い質したりせずひたすら優しい言葉をかける綾織さんの行動は理想的ですね。しかもそこで誕生日プレゼント。(しかもこの場面さりげなく彼シャツだよ)

いろいろ優しくされたことでヒロインも思わず泣き出してしまいます。ロクでもない許嫁とは何もかも違いすぎて、絆されても当然ってシチュエーション。で、抱きしめてもらううちに綾織さんに身を任せる流れになります。

この1回目のシーンなんですけど。ひたすら優しく甘やかす感じ。ソフト~~な雰囲気です。けどソフトすぎるからってまさかキャラに寝オチを注意されるとは思わなかった。この辺のセリフ少し笑っちゃいました。寝るわけないだろ!河村さんだよ!

そうそう、いつもよりちょっとお声が近いように感じました。これは嬉しい! でもマイクとか音響によって近さに違いが出るものなんでしょうかねえ?? 素人すぎて全然わかりませんが。近いし、あと河村さんがボフってる!と興奮しました。。(そこ?)

綾織さんからヒロインに「痕をつけて」と頼む場面があって、それもすごくよかった。

その後。案の定許嫁に関係がバレてしまいます。

そのせいでヒロインがひどい暴力を振るわれたらしいことを知って、綾織さんはすぐに許嫁と話をつけに行きます。が、失敗。

二人は逃げるように遠方の別荘へ。元ネタどおりここが最後の地になります。

逃げるようにといっても、綾織さんからすれば思惑どおりの展開だったようですね…? 理想の死に方を叶えるためにあえて居場所を失くしていったような。もう戻れない所まで来て、ヒロインにも死こそが自由だよみたいなことを説いて、心中する約束を取りつけて。

そして、死の前に最後に体を重ねるシーンが入ります。

そういう状況下だからって特に狂気が前面に出ることはないです。最初から静かに死を決意していた人だから今更変わるわけないんですね。むしろ状況を忘れるほど甘いです。でも1回目よりも激しめの、濃い愛し方で。

その辺りの糖度の塩梅がよかったですね~~。最後がこれってある意味とても幸せなんじゃないでしょうか。キスも多くて、ありがとうございました。。ツボなセリフは「怒られるかもしれないけど、君の泣いてる顔ってちょっと興奮する」ですかね。いたずらっぽい言い方で、なんだか綾織さんらしい気がします。

いちばん最後、縊死のあとの静かなSEも印象的でした。

そういえば作中いろんなSEが適切で好感を持ちました。行為中のあれやこれやの音も大げさじゃないし、ベッドの軋む音がするのもよかったです。(個人的に水音があんま好きじゃないってだけ)

特典は死に損なった場合のifストーリーなんですけど、綾織さんのキャラがもはや違うような(笑) 生前いちゃいちゃしたのが上述の2回だけなら、ifにするしかないのはわかるんですけども。ifなのになんでこんなつらいのかな…。あ、自分が聴いたのは「地獄の一丁目と猫」の方です。

【追記】第二巻聴いてから考えが変わりました。これが本来のカフネなのではと。あと、もう一つの特典「生き地獄」も後日買っちゃいました。

 

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第1弾がよかったので後続も楽しみになってきました! というわけでちょっとその辺の話を。

第2弾は近親もののようですねええ! 人によっては明らかに地雷でしょうけど、私はとてーも楽しみです。園原さん、「他人の痛みが分からず、共感性に乏しい」とか設定にあって、歪んでそう。偽悪的・韜晦的な変態キャラだったらいいな~なんて妄想しております。(オイオイ) 佐和さんの悪魔っぽい低めの囁き声が聴けたら超嬉しいっす…

題材としては①姦通 ②近親相姦 ③監禁 でしょうか。③は予測に過ぎませんが。※私の予測はよく外れます。

結末はいずれも心中か、それとも心中以外のエンドもあるのかな。

あ。そういえばジャケ絵の背景にあるステンドグラスを見ていて気づいたのですが、

①葡萄 ②桜の実 ③雑木林

になっていて。(②と③はたぶん) これ、各作家の有名作品に出てくるモチーフのようなんですよね。芸が細かいなあ。ってどうでもいい話ですかね。。

【追記】②はやっぱりさくらんぼっぽく見える…。自信ないな。林檎の方がしっくりくるんですけど(「初恋」)、林檎には見えないですよね。

 

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