執着eye 3

ある意味完璧な作品を聴いてしまった…。

もうこれこのまま防犯教材に使ったらいいんじゃないかな(違)

 

 

執着eye 3


レーベル:BULLET(カナリアレコード)
CV:寺竹順
シナリオ:七原みさ
イラスト:京一
2018年7月27日発売

公式サイト

登場キャラ:
浅井 直輝

27歳。大家。昔は役者の道を志していたが、現在は入院中の祖父に代わり一時的にマンションの大家となった。数々のバイト経験を生かし、簡単な配線、配管の補修や点検など、大家として自分でできる範囲のことは積極的に行っている。また、自身が動物好きなこともあり、動物の飼育を許可している。趣味は、海外ドラマ鑑賞とネット通販。

 

今回キャラの設定文から騙してきましたね。騙されました? 私は騙されました(えへ)

本編はもちろん、ステラ特典を聴いてだいぶ…言葉を失ったんですけど。あああああ。この救われなさ。

 

 

蝉がミンミン鳴く夏のある日、ヒロインの住むマンションに大家である浅井さんが訪ねてきます。昨晩の停電を受け、各部屋のブレーカーを点検して回っているとのこと。ジャケ絵のような工具箱を持って現れたんでしょうね。

ヒロインは大学進学を機にこの春地方から出てきて一人暮らしを始めたばかり。大家さんに会ったのは初めてで、入院中の祖父の代理を勤めているという浅井さんを部屋に上げ、点検の傍ら当たりさわりのない会話を交わします。

小動物が好きらしく、ヒロインの飼ってるハムスターに嬉しげに声をかけたり、古い物件のためコンセントが足りないだろうからと電源タップを提供してくれたり。実直で親切そうな雰囲気の大家さんです。トラブルがあったときの連絡先を教えられ、ヒロインも相手を信頼して自分の電話番号を伝えます。

好印象を残して帰った浅井さん。翌週さっそく電話が来て、今度は下の階で水漏れが発生したため水道点検に伺いたいとの相談。ふたたび部屋にやって来た彼は、台所や風呂場をざっと見て回り異常がないことを確認。帰り際、ハムスターや本棚に目をやり何気ない調子で雑談していたら…、メモリーカードらしきものを発見。息をのんだような気配の彼。

…非常に言いにくいんですが、これ、盗聴器の類じゃないかなって

驚愕のあまりよろめいたヒロインに、浅井さんは不安を煽ったことを謝ります。そして盗聴器(かもしれないもの)は自分が預かって警察に相談しに行くと宣言。防犯設備を整えるのは大家の務め と真剣かつ落ち着いた口調で伝え、動揺するヒロインを安心させます。さらには、電話だけだと不都合もあろうとメッセージ用のIDも交換。窓は必ず施錠しカーテンを閉めておくこと、事の詳細がわからないうちはむやみに知人友人にこの話をしないこと――等々を伝え、その場を去ります。

彼の言いつけを守りつつ不安な日々を過ごしていたヒロイン。ある晩、窓に突然何かが当たる音が響いてビクリ。恐怖で固まっていたところに浅井さんからタイミングよく電話が。話を聞いた彼はすぐさまヒロインの部屋に駆けつけ、窓のヒビを確認します。例のメモリーカードが盗聴器だったという警察の報告や、窓の件は盗聴器が回収されたことに気づいた犯人の行動では…といった状況分析を聞き、いっそう怯えて泣き出すヒロイン。そんな彼女を浅井さんは遠慮がちに抱きしめて、

このタイミングでこんなことを言うのはずるいかもしれないですけど、僕に君を守らせてほしいです。大家としてじゃなく一人の男として

ほぼ告白なセリフ(実は最初に会った時から…的な)に加え、慰め&励ましの優しい言葉をかけることでヒロインの弱った心に入り込んできます。この口調がまた冷静かつ控えめなトーンで、全然下心なさそうというか無害そうというか。。ああ騙される、騙される~~っ

彼の提案により、その夜はヒロインの部屋で二人一緒に過ごすことに(あくまで防犯的な意味で)。寝る前の会話の中で、浅井さんはヒロインに自分のことを下の名前で呼んでほしいと頼みます。

翌朝目覚めたとき、ヒロインは浅井さんの顔に涙の痕があることに気づきます。「すごく幸せな夢を見ていたのかも」と彼。

帰り際、警察にはまた自分から連絡すると言う浅井さんに、ヒロインはふと彼がどこに住んでいるのか尋ねます。一瞬虚をつかれた様子でなんだか曖昧な答えが返ってきますが、同じマンション内に住んでるわけでもないらしく、訪問してみたいと頼んでもはぐらかすような口振りです。最後、浅井さんがハムスターに挨拶をしようとしたら噛みつかれ、指に傷がついてしまいます。

 

 

 

ここまでが起承転結の承で、あとは転、というか浅井さんの芝居の結末に向かってひたすら転げ落ちていくのみです。(※ラストのトラック名は【奈落】)

筆舌に尽くしがたいものがありましたね…。。

このまま単純にあらすじを追うのも違うなと思いまして、唐突ですが以下箇条書きにしてみます。文章おかしいうえに脈絡ないです。ちょっとぼかしてるため意味不明でしたらますますすみません。。

 

 

● 仮面を捨ててからの浅井さんがもう、もう…。いかにも狂ってます的な派手な演技ではなく、あくまで淡々としたトーンを崩さないのが非常に効果的でした。冷めてるといってもいいくらい。目の前のヒロインは確実にパニックに陥って泣きわめいているはず、と思うといっそう際立つ恐怖感。

● ひょんなことから嘘に気づいて真相を問いただしたヒロインに、浅井さんが事の始まりを説明する場面。「君が俺を見つけてくれた」って表現のインパクト。ここから遡ってトラック1【春の日】に何があったかわかる構図になっていて、1分にも満たないあの冒頭シーン、ヒロインにとっちゃ何でもない出来事が、彼にしてみれば目の覚めるような “運命” であり執着の始まりだったわけで。

● ヒロインに挨拶されたことも大家として頼りにされたことも名前で呼ばれたことも、浅井さんにとっては唯一の存在証明だった。特に名前。なんとなくだけど某詩人の “人は死に際して他者に名前を呼ばれることを欲する” 的な言葉を思い出しました。死の淵に立たされた人間にとって最後に残された自己の存在の証は「名前」なんですよね。リアルな死でなくても、日常的・心理的に死に近いところにいる人間の場合もそう。

誰の目にも俺は映らないものだと思ってた」とか「君に出会うまで生きる意味すら見失ってた」とか、たぶんこれまで希死念慮を抱えて暗鬱に生きてきたであろう浅井さんにとって、ヒロインに名前を呼んでもらうことはまさに光明(=「見つけてくれた」)だったんだろうなと思います。一瞬で消える光だけど。

● セリフの端々から、身寄りも定職もないむちゃくちゃ孤独な青年だったことが想像されます。トラック3でID交換するときちょっと不慣れな様子だったのは普段そういう相手がいなくて交換し慣れてないって意味だったのかな。

● しかし… 終盤にかけてあまりにも無慈悲な展開でした。「やれよ」とか「小汚いネズミ」とか結束バンドとか、ギャッとなるポイントはいろいろありましたが、一番怖かったのは浅井さんが選んだ “新居” ですかね。マンションの裏の物件って、あ、あれ? その家は…? アズマさんと妻どうなったの?? いや一つしか考えられないけど…うそでしょ。。トラック5の「今日はどうしてもやらなきゃいけないことがあって」はこのことだったんでしょうか。

● そして猫だけが残った。

● ていうかハムスター…。ヒロイン発狂しますって。

● ヒロインのことを勝手に「運命の人」と崇め、捻じれた愛情ぶちまけるところは若干カフネみを感じました。彼の人の愛は狂ってゐる。

● ラストの「ハッピーエンドに決まってるよね」のさばけた言い方がすごくよかった。よかったというと語弊があるけど、なんていうかな…。不条理感が濃く漂ってて。

● 自分で書いた筋書きに沿って “頼れる大家さん” を演じてきたのに、後からその仮面と本性の乖離に苦しむかのようなセリフに頭を抱えたくなりました。ヒロインが好感を寄せたのは他ならぬ仮面のほうであって、素顔の浅井さんはどこまでも、どこまでも拒絶され憎悪されるほかない…。

自分を偽ることでしかヒロインに接触できないと考えた時点で、最大限自己を否定していることに浅井さんは気づいてるんだろうか。気づいてるよね。当人が一番自覚してますよね。スタート地点からすでに崩壊していた芝居なんです。

ねえ、君は本当の俺を見ても好きになってくれた?」というセリフ、坂上さんの「君はこんな俺のことを好きになってくれる?」を思い出しました。橘君も “頼りになるいい後輩” を無理に演じ続けた末に自壊してたよな…。

● そんな浅井さんに対するヒロインの「気持ち悪い」発言には、ちょっと頭を殴られたような気分になりました。なぜか聴き手の私が。

ヒロインの反応(嫌悪&抵抗)は当然だと思うし、その反応は絶対ブレてほしくないんだけど、ヒロインに嫌われ気持ち悪がられて激昂or絶望する浅井さんを見てると泣きたくなります。あんなにゲスいのに、どーしてなんでしょーねー。。1、2巻でも同じ感覚を抱きましたが。

 

 

 

…なんか大事な要素が多々抜け落ちてしまってる気がしますがこの辺にします。全然うまく書けねえ。半年くらい経ったら考えが整理されて全部書き直すかも。遅っ。

もちろんフィクションだからこそ享受できる ってのは言うまでもないですが。あと声がいいからね★(身も蓋もない)(でもこれ事実)

 

以下特典について。

 

アニメイト「晩餐は恋の味」

後日談その1。日々ヒロインに付きっきりでお世話する浅井さん。口も利かない笑顔もないヒロインですが、最近は徐々に彼の作る料理を食べるようになってきたようで。「今日はデザートにアイスを作ってみた」という彼の優しい言葉に乗せられて、しぶしぶ口に含むと

…え?

……え?? まぜたの?????

ま、まじかー。

根が素直なヒロインをこれでもかと地獄に叩き落しますねぇ。おいおいおい。まったく浅井さんあなたって人は…!!

それはいいとして(全然よくないけど)。「今までの不幸が霞むくらい君との毎日が幸せなんだから」と言う彼。だけどこの “幸せな” 生活に終わりが近いことも自覚しています。いや、彼の精神が状況に耐えられなくなってきてるというか。

手の怪我を心配してくれたり食事を口にしてくれたり、99%拒絶モードの中でヒロインが一瞬だけ見せてくれる優しさが、浅井さんに舞い上がるほどの幸福を与えると同時に身を切るような絶望をもたらす。優しさといっても人間としての「情け」であって愛ではない。それは当人もわかってる。本当にほしいものはどうやったって手に入らない。

行為後気を失った彼女に向かって「無関心でいてくれた方がずっとよかったのかもしれないね」と語りかけ、一人涙を流すラストになんとも言えない気持ちになります。自分の愛情表現が歪んで狂っていることも、この先には破滅しか待っていないことも、本人が一番自覚してるんです。

 

ステラワース「春の夢を見る時」

後日談その2。これでおしまい。心を閉ざしたままのヒロインを浅井さんが “解放” するお話。

ああ、そういう終わり方をしちゃうんだ… と思いました。

俺には普通が一番難しいや」ってセリフがすごく刺さりました。夢に見るほど、狂おしいまでに “普通” を望んでいたのに。やはり自分が歪んでることに強い自覚があって、でもこれ以外どうしようもないっていうギリギリの精神状態。ギリギリだから、最後はぷつっと切れてしまったんですね。糸が切れたように静かに。

でも、そっか… その選択をするか…

う~~ん…

う゛~~~~~ん゛………(ほんと何も言えない)

よかったら君も行かない?」の含みが、、、あああもう。。ウウウウ。。。

ヒロインもかわいそうすぎます。そんなん目撃しちゃったら今度こそ気が狂う。解放どころかこの先の人生悪夢でしかないじゃん…。そういう形で自分の存在を刻み付けるって、まったく浅井さんあなたって人は。

あなたって人は……!!!!!(むせび泣き)

 

 

 

特典でズーーーンと来ましたね;;

とはいえ。個人的にはストーリーもキャラ造形も完璧な作品だと思いました。非の打ち所がなかった。トラック名もセリフ一言一言もぜんぶ。このシリーズ巻を追うごとにますますクオリティ上がってますなぁ…

 

以上です。

 

 

♯ 前回拍手ポチポチくださった方はありがとうございましたー!(読み返したらだいぶ頭おかしい記事で恥ずかしいったらない)

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  1. あめ より:

    ●拍手返信
    >こばさん
    わ~いこばさんメッセージありがとうございますです!(*´▽`*)

    こばさんさえよろしければいつでもどの記事でもメッセージいただけると喜びまくりますっ。いつも感想共有できてとても嬉しいし楽しいですー^^!!!

    お、ライアー×チェイサーもお聴きでしたか~。“斜め上の両片思い”って表現いいですね! 双方ともちょっと(?)歪んだ片思いを抱え込むタイプでしたね。どっちか一方の片思いだったとしたらほんと、監禁ルートに行きそうな雰囲気でした;; でもそうはならず、なんだかんだ似た者同士ってのがすごく新鮮でした~!
    そうそう、声近かったですよねえ~~o(≧◇≦)o ミルチェさん音のクオリティよすぎます…!!(大感謝)

    そして執着eye。刺さりましたねえ。抉られましたね~。。
    「やれよ」、ヒロインも即座に従わざるをえないほど冷たい声でしたよね…。私もかなり印象に残りました。

    なるほど~! たしかに坂上さんや橘君はまだわかりやすいタイプ(といったら失礼ですが)の感情表現してましたね。それに比べて浅井さんはほとんど表面に出ないというか…。うん、ほんと優しい・穏やかといってもいいくらいの声色でした。
    個人的に、寺竹さんはきみはじとかでーとびよりとか甘い系が好きだと思っていたのですが、今回浅井さんがかなりツボにはまりました。

    あああ~しか言えなくなる気持ち、めちゃくちゃわかります。私も頭の中あああ~ばかりでした(:_;) ステラ特典、まさか最後まで描くとは…と。胸が苦しくなるような、滅入るような気分になりましたね。。
    正直これ聴いてからまだ次の作品に移行できません;; ずっと考えちゃうです~…。

    あ! 全然関係ないですが「私の小鳥」新作にしてラスト巻来ましたねーーー!!!! 王様ですよ黒井さんですよどうしましょう!!!(という興奮をこばさんに伝えたかった 笑) 楽しみですね^^

    1. あめ より:

      こばさん、追加でありがとうございます~~(*^▽^*)
      私も今回すかさず特典コンプで予約かけちゃいました。もう楽しみすぎます。やじまさんのカールも気になりますですです!!!

      あ、熊肉さん自身が近いんですか! なんとまあ。ダミヘの申し子でしたか…(笑)
      恋ノ道2作とも購入済みなんですね~~^^ 極道ものなのでどーかな?と思ってたのですが、聴いてみたくなってきました。情報ありがとうございます!
      熊肉さん、声が変幻自在なので作品によってどういうボイスで来るのかすっごく気になります。おっしゃるとおり、沼になるかもです…///

  2. そらお より:

    あめさん、こんにちは。

    …「執着eye3」私も騙されました…。
    そして特典。
    ステラワース、アニメイト共にどちらも「!!!?」となりました。
    特にステラ特典は……。
    また忘れられないシチュの思い出がが出来ました……。

    仰るように、巻を追うごとにクオリティが上がっていますね…。
    今回演じられた寺竹さんのお声が優しい分、そんなシーンのギャップに震えました…。

    1. あめ より:

      そらおさんこんにちは! メッセージありがとうございます^^

      騙されちゃいましたよねぇ~(>_< )! 今作はそのあたりも徹底していて、ほんと細部まで作り込まれている印象です。このクオリティ、制作側の本気を感じました...。

      「忘れられないシチュ」って、もうまさにそのとおりで…!! いろんなシーンやセリフがなかなか頭から離れません。なんともいえない気持ちですね、ううう。。

      ですよね! 寺竹さんの優しいボイスが作品の雰囲気をいっそう引き立ててました。静かにプッツンした口調、本当に震えます… こういうヤンデレ系も似合うんだな~と実感しましたね。

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